チェシャ財団の車で車いすを贈られた子ども達を訪ね、感想を聞いて回った。
どの家庭も困窮した生活にあえいでいた。粗末な家の暗い部屋から子どもたちが出てくる。外は火山岩のような赤茶けた色で、行く手を阻む道ばかりが続いた。ある子は日光浴をしていた。ある子はひっそりと車椅子に座っていた。私は必ず一日に一回は外に出してほしいとお願いをしてきた。母親、兄弟たちにそのことを必ず伝えてきた。皆、深くうなづいてくれた。
13歳の少女が「貧しい人に車椅子をくれてありがとう」と静かに語った。彼女は学校に行っていない。
いや、行けなかったのかもしれない。この一言が心に深く染み入り、頭から離れない。どの家庭を回っても笑顔いっぱいで、心から喜んでいることがよく伝わってくる。暗く、困窮した生活に一条の光が差すとしたら、こちらも願っていることだ。ささやかながら、子どもと家族に喜んでいただけたことが私の誇りである。
貧しさに耐え、障害があってもなす術もない人たちとも面会した。エチオピア人は礼儀正しく、温かく私を迎えてくれた。とても親切で気配りのある人たちであった。チェシャ財団の主要メンバーとも面談し今後について話し合いを進めた。
彼らの活動も広範囲にわたり障害者を支援しており、日本人から見ても自立支援をするシステムは敬意に値する。
今後もエチオピア人と私たち日本人が力を持ち寄り、より奥地の子どもたちに車いすが届くように働きかけをしたいと感じた。彼らの話から、日本の技術を学び取りたいという意欲もあり、ぜひ日本に招聘し、交流の輪を広げ、彼らの発展に手助けをしたいと思った。