マレーシア向け90台がパートナーに届きました。*

  2021年8月26日早朝、マレーシア向け90台の車椅子を積載した本船が東京港を出ました。船はマレーシアのポートケラン港に9月6日に到着し、マレーシアの長年のパートナーであるAleps Dream Factory (ADF)のサイド氏から「9月11日の午後に港にあるコンテナーから車椅子の引き取り作業を行う」と連絡が入りました。

  今回の車椅子の贈呈は、サイド氏から「コロナ禍で移動することはできないが、工場で未整備の車椅子を整備することはできるので送ってほしい」と連絡があり、送ることになったものです。サイド氏がこれから自分の工場で整備を行い、それが完了して初めて子どもたちへの供与を開始します。サイド氏には技術力がありますので、時間をかけて車椅子を完璧に再生させてほしいと思います。

  サイド氏は、マレーシアが1981年に始めた「東方政策」の留学生として来日し、日本での生活を経験しています。東方政策とは、戦後に高度経済成長を遂げた日本の集団主義と勤労倫理を学べというマレーシア マハティール前首相が進めた近代化促進政策で、日本人の労働規律や会社への忠誠心,労組間の協調などをマレーシア企業に取入れようとしたものです。日本企業の協力を得た労働者の技術強化の訓練や,日本への留学生派遣もあり、毎年多くの留学生が日本の全国の大学に来ています。(最近は減少傾向だそうです)

  サイド氏が、東方政策により日本に来たのは、1988年です。来日後、1年間は東京の日本語学校で日本語を、1989年4月からは愛媛県にある国立新居浜工業高専の3年生に編入し、機械工学を学び、1992年に卒業しています。卒業後はマレーシアに戻り、マレーシア住友金属鉱山子会社に入社し、マイクロチップの製造事業に従事しました。

  その後、1997年にサイド氏は先輩と共にディーゼル・エンジン再生事業を立ち上げ、更に大型レストランの経営で成功します。(残念ながら、レストランはコロナ禍で閉鎖)

  当会は、「マレーシア東方政策元日本留学生同窓会」(ALEPS:Alumni Look East Policy Society)と連携してマレーシアの子どもたちに車椅子を届ける活動を始めました。サイド氏もその活動に参加するようになり、やがて同同窓会(ALEPS)の会長(2011~ 2015年)の立場で車椅子提供活動を主体的に推進します。

  自ら車椅子を整備できる工場を立ち上げ、必要な機械はすべて自費でそろえ、マレーシア全土において連絡があれば、車椅子を届けるために力を注いでいます。15年間に渡り、1,500台以上の車椅子を受け入れてくれています。

  子どもたちへの車椅子の重要性に気づき、自発的に工場を建設して、マレーシア製の車椅子を製造するまでに成長を遂げたサイド氏の情熱には頭が下がる思いです。

2021年9月17日      森田  祐和

〇車椅子の倉庫への運び込みの様子
  


サイド氏がこれから車椅子を整備して、コロナが終息してから子どもたちに届けます。

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