しかし子どもの成長は早く、車椅子はすぐに身体に合わなくなってしまいます。成長とともに容態も異なってきますので、10~30万円と高価な車椅子を2~3年で買い換えることになります。子ども用車椅子の場合、リサイクル中古品には需要がありません。なぜなら中古品に補助金は出ませんので、補助金を申請して新しく買い換えたほうが保護者には負担が少ないという実情があり2~3年しか使っていない非常に状態の良いものが廃棄処分されています。
一方、海外の発展途上国では障害のある子ども達の多くが家に置き去りにされている現実があります。養護学校に入れる子どもはまだしも幸いで、学校では大人用の車椅子が使えますが、しかし家に帰れば車椅子などはありません。特に子ども用の車椅子などは皆無ですので、両親が畑や街に働きに出てしまい、車椅子もないとなれば一日中ベッドに寝たまま過ごし、日光浴もできない子どもが多いという現実があります。これが海外の実情なのです。
わが国で廃棄されている車椅子は非常に状態が良く、清掃し小修理をすれば新品同様に使用できるものがほとんどです。当会の会長森田祐和は自身の子どもに先天性障害があり、その生活体験からこの廃棄されている子ども用の車椅子を有効活用することを考えました。そして、車椅子を必要としている海外の子ども達にこれを贈り、車椅子での移動の自由を得ることにより自分の幸福を自分自身で追及できるようにしてあげられないかと考え賛同者を募ったところ多くの協力者が得られ、平成16年6月に当会を発足させました。
当会の特質は、車椅子の廃棄処分に困っている都区内の養護施設や保護者の強い支持を得ていることと、収集した車椅子を車椅子専門メーカーの無償協力のもと自分たちの手で清掃し修理していることです。また、その輸送には大型のコンテナを使用して船舶により輸送しています。
従来、保護者が廃棄費用を支払って処分していたものを無償で提供してもらい、それを海外で活かすというグローバルな視点での資源のリサイクルと有効活用に貢献できる意義は大きいものと考えています。私たちは、海外における福祉から見捨てられ動く自由を奪われている肢体不自由の子ども達と日本の子ども達をつなぎ、障害を持つ子ども達が健やかに成長できる社会づくりに貢献することは国際親善にも寄与できることと自負しています。